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花博自然環境助成事業

平成30年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 公益財団法人南方熊楠記念館〔和歌山県〕
事業名 番所山(南方熊楠の森)の昆虫・粘菌調べ隊
事業の実施場所 南方熊楠記念館および番所山(南方熊楠の森)
事業の実施期間 平成30年4月~平成31年2月
事業の概要 平成27年に吉野熊野国立公園の一部へ編入された番所山だが、その昆虫・粘菌相の調査は十分とは言えない。今回、5月~11月の間、それぞれ計4回、調査・観察会を実施し、昆虫・粘菌相の調査と番所山の自然の良さの普及啓発をはかるとともに、番所山の自然(昆虫・粘菌)に精通する人材育成も行う。
成果の要約

平成29年3月に南方熊楠記念館新館が完成し、新装オープンしてから入館者は年間3万人を越えるようになった。東京の国立自然博物館で開催された「南方熊楠展」を見て、白浜を訪れたという人もある。新館では、粘菌コーナーを新設し、番所山で採集した粘菌の林床の様子を再現したジオラマと、アメーバー状で移動している様子を観察できるようにした顕微鏡を設置した。館内のアンケートを見ると、これによって粘菌に関して興味関心を持ち、理解できたという人が増えた。
チラシ配布枚数は粘菌・昆虫教室で4,000枚,講演会は2,000枚、配付箇所は海南市の県立自然博物館と記念館近隣市町村公共施設(図書館、公民館、白浜駅、白浜町観光協会など)13箇所及び白浜温泉旅館協同組合加盟25施設及び近隣小中学校57校であった。地方新聞の紀伊民報に第1回の開催記事が紹介された後、大阪や和歌山市からの問合せや申込が相次ぎ、インターネットやマスメディアの広報によってより遠くからも参加者が集まった。
特に昆虫調べ隊は、募集人数を大きく上回る応募があった。毎年、「南方熊楠記念館」と「番所山を愛する会」が協力して、番所山の粘菌を調べる観察会を実施してきたが、今年の粘菌調べ隊は白浜町、田辺市のみならず和歌山市、大阪府八尾市、大阪市北区からも参加があった。昆虫調べ隊には、主に白浜町、田辺市、中辺路町、上富田町からも参加があった。昆虫調べ隊では、毎回の採集会では、この事業による助成で購入した標本作製用具を用いて、参加者は自分の採集した昆虫を南先生の指導で本格的な標本に作り、持ち帰ってもらったので、夏休みの自由研究を発展的に行った児童もあった。
また、南方熊楠記念館で開催した「不思議ないきもの・粘菌展」で、粘菌調べ隊で作成した標本を展示し、和歌山県立自然博物館からも粘菌標本やパネルを借りて展示したので、博物館の学芸員との繋がりが強くなった。年度末に成果発表会として、粘菌などの写真で図鑑を作成されてきた写真家の伊沢正名氏による講演会と講評会を行った。
粘菌調べ隊で採集した標本は南方熊楠記念館の常設展示で展示して、来館者に実体顕微鏡で観察してもらい、活用している。

活動の様子2 活動の様子1 活動の様子3 活動の様子4