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花博自然環境助成事業

調査研究開発助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) タンポポ調査・西日本実行委員会〔大阪府〕
代表者 代表 布谷 和夫
事業名 タンポポ調査・西日本2015
事業の実施場所 19府県(*)で実行委員会を組織して調査を実施 *近畿・四国・中国地方と福井・三重・福岡・佐賀の19府県
事業の実施期間 平成27年4月~平成28年3月
事業の概要 西日本19府県(近畿・中国・四国+福井、福岡・佐賀)で、府県実行委員会により市民参加型で、在来種(カンサイタンポポ、ヤマザトタンポポなど)および外来タンポポ(雑種タンポポを含む)の分布を明らかにする。
成果の要約

事業の実施成果は、次の3点にまとめることができる。

  1. 多数の市民が参加した調査で、これだけ広い地域で密度の高い生物分布データが得られたのは日本では初めてのことであり、世界的にも非常に貴重な取組である。これは、一つには対象が誰でも知っていて親しみのあるタンポポであった点、タンポポを調べることで環境の変化や生物多様性の現状が知ることができる点、頭花の標本に基づいて、この調査に加わった多数の研究者がタンポポの種名の同定を行うとともに、一部はDNA解析を行って、雑種の解析まで行ったことがあげられる。
  2. 在来種タンポポの分布について、従来の知見を修正する新しいデータが多数得られた。カンサイタンポポの分布域は当初考えられていたほど広域ではなく淡路島を中心とする東瀬戸内地域に限られており、それ以外では散発的にしか見られないことが初めて明らかになった。また、東海地方に続く三重県に多いトウカイタンポポが愛媛県にも隔離的に分布することがわかった。また、ヤマザトタンポポやクシバタンポポ・モウコタンポポなどの希少な倍数体在来種の詳細な分布が解明された点があげられる。
  3. 外来種の割合が環境指標になることが、今回の調査でも多くの地域で確認された。しかし、一部の地域(山陰地方や四国西部・九州北部など)では、外来種が侵入する以前から、カンサイタンポポなどの二倍体在来種は少なく、環境の改変で外来種が侵入すると、外来種が非常の高い比率で発見されるようになったと考えられ、これらの地域では外来種の比率を環境指標として用いることが難しいことが分かった。
  4. これまで断片的にしかわかっていなかった雑種タンポポの広がりが、西日本の19府県において詳細に明らかになった。また、2005年に比べて雑種がやや増加しており、中でも三倍体雑種の割合がかなり増加していることや、セイヨウタンポポのうちの60%が雑種であるが、アカミタンポポでは4%程度であることが初めて明らかとなった。

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