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花博自然環境助成事業

平成27年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 一般社団法人湿原研究所〔北海道〕
代表者 代表理事 曽根 一
事業名 北海道湖水地方の有用植物調査とワイズ・ユース研究
事業の実施場所 北海道広尾郡大樹町字晩成229 番地l
事業の実施期間 平成27年4月~11月
事業の概要 ラムサール条約登録をめざす北海道湖水地方(十勝海岸湖沼群地域)における、有用植物調査とそのワイズユースを目的とした研究活動。
成果の要約

各界の専門家を招聘し、研究所の会員一同、きわめて充実した時間をえることができた。湿原・湿地の社会的な意味生態学上の重要さ、そして、ワイズユースという概念が、必ずしも現代的なものであるだけでなく、人類の英知がその必要性を早くから察知して、利活用の方策を模索してきたこともよく理解できた。タイキフロラ活動はますます盛んになり、講座参加をきっかけに植物標本活動に参加する市民の数も増えた。新たな表展示会の計画も立案しつつあり、視野は世界的な広がった。専門家による指導で湿原を標本採集に歩き、北海道湖水地方の植生が、きわめて生物多様性に富んでいることも再確認できた。また、ラムサールセンターの武者孝幸先生の講義では、ラムサール条約登録への道と題し、実に具体的な手順を紐解いていただき、現在、会員を中心に、地域創生を目標にしたラムサール条約登録をめざす勉強会が始まった。湿地学会の札幌例会、東京例会に参加し、北海道湖水地方における活動の報告を行い、また、全国規模の専門家が集まる例会に参加できて、多角的なアプローチの方法を聞くことができた。地元メディアによる取材も増え、特に幕別町忠類道の駅、大樹町中心地の所有者等から、町の振興策への参画も求められ、帯広市唯一の百貨店藤丸からは、定期的な標本展示会開催を薦められるなど、湿原研究所の活動が、多くの人々の注目を集められるようになった。有用植物という考え方は、多くの人々の関心を集めたため、湿原の植物を活用して、料理教室を独自に開催する会員も現れた。専門家からは、植物の同定方法、技術、栽培技術等々の指導を受け、将来、湖水地方植物園を設立する機運が高まった。忠類道の駅に対して、植物園構想を提案し、土地の提供提案を頂戴したため、現在、土地の鑑定、資金調達などについて、多方面の関係者と相談を開始した。予算の関係で、ウルグアイのラムサール条約会議には参加できなかった。佐野契先生による「湿地のワイスユース講座」では、湿地のワイズユースが実に柔軟な思考に基づいて発案構想されるものであることを理解した。久野浩之先生の講座は、当湿原研究所初代代表理事を務めて下さった故辻井達ー先生が常々お話ししていた自然環境のマネジメントという観点に立った有意義な講座であった。大学、道総研等の本格的な研究機関から参加した専門家諸氏は、参加者の熱意と質の高さに一様に驚かれた様子であった。市民がセミプロの研究水準を達成するという、当初の目標に近づきつつあることを確信している。