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花博自然環境助成事業

平成24年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 外来種生態管理研究会〔北海道〕
代表者 代表 立澤 史郎
事業名 外来種ヌートリアの密度制御と植生回復の実践的研究
事業の実施場所 兵庫県加西市、北海道札幌市
事業の実施期間 平成24年4月~平成25年3月
事業の概要 平成17年度助成で提起した「水位調調節によるヌートリア制御手法」による面的な低密度化・地域的根絶の成功事例のために、昨年度明らかになった障害を生態学・社会学の観点から整理し、被害状況と実現可能なロードマップを作成する。
成果の要約

24年度は、昨年度に構築した調査体制に基づき、4回の基礎調査(生息状況変化の把握、水抜き効果の評価;6月、8月、11月、12月)、2回の追加調査(ため池コスト調査、被害実態調査、地元意識聞き取り;8月、11月)、1回のアンケート調査(9月)、を実施した。
基礎調査においては、1.植物相の変化、2.ヌートリアの中密度維持状態(加西市内=水抜き・水位変動を継続)および部分的高密度化(周辺市町村=水抜き廃止)が確認され、継続的な水抜き作業(もしくはため池の水位変動)の密度制御高化が(これまでのため池個々でなく)地域スケールで検証された。また、3.希少水生
植物相の変化については複数の要因が考えられるものの、ヌートリアの食性が高密度時から(低密度時の食性へ)戻っていないことで一部の水生植物に継続的にダメージを与えている可能性が指摘された。
追加調査およびアンケート調査では、1.ヌートリアによる農業被害の量・額は減少しているが、他種(アライグマ、イノシシ、シカ)の農業被害対策に労力やコストをとられて被害対策が不十分であること,2.ヌートリアの場合は農地に生息しているためストレスが大きいこと、3.地域社会の高齢化およびため池維持管理のコスト増によりため池の“生きた管理”が年々困難になっていること、などが明らかとなった。
以上の成果は、年度末の調整会議などにおいて地元に情報還元を行うとともに、新年度(平成25年6月)の調整会議において対策を検討したうえで,新行動計画を策定する予定である。