平成24年度助成事業 成果概要の報告
団体名(所在地) | NPO法人四国自然史科学研究センター〔高知県〕 |
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代表者 | 理事長 町田 吉彦 |
事業名 | 四国におけるニホンザルの分布状況の把握 |
事業の実施場所 | 四国全域 |
事業の実施期間 | 平成24年4月~平成25年3月 |
事業の概要 | アンケート調査および痕跡調査や無人撮影カメラの設置など現地調査を行い、四国におけるニホンザルの分布状況を把握する。これらの結果を基礎資料とし、計画的な保護管理を検討することにより、ニホンザルによる農業被害の軽減と地域個体群の維持を目指す。 |
成果の要約 | 本調査により、四国のニホンザルの分布は、県境の山間部にまとまっているということが明らかになった。過去の調査と比較しても分布の大きな変動はない。しかし、いままで確認されていない市町村での分布や、反対に過去に分布していた市町村で今回確認されなかったなど、分布域の多少の変化はあった。また、自動撮影カメラ調査の結果により、集落がない山林内でのサルの生息確認をすることができた。このことにより、サルの生息域は隣接する市町村にまたがっていることが明らかとなった。しかし、今回の調査では、詳細な地域個体群の確認まではいたらなかった。現地調査により、さらに情報を収集し、地域個体群や群れ数も把握することが必要である。 また、今回の調査において、各市町村ごとのサルによる被害の現状も把握することができた。被害のほとんどは農作物被害であるが、中には人に威嚇する噛みつくなどの人身被害も発生していた。各市町村で、住民や行政が主体となり対策も実施されているが、被害が減少している地域は少ない結果であった。多くの市町村では目撃情報は収集しているが、サルの調査等は実施されておらず、群れ数や遊動域等の生息状況が把握していない。被害を軽減させるために有効な対策を実施するには、まず、その地域のサルの生息状況を把握することが必要である。また、サルは市町村をまたがり生息しているため、隣県と協力し広域に対策を講じる必要がある。 被害が発生しているほとんどの市町村において有害捕獲が行われていた。しかし、有効性を認めて捕獲を実施している市町村はなかった。被害軽減効果には疑問を感じながらも、被害をうける住民感情をおさえるために、捕獲しか方法がないという現状であろう。捕獲にかかるコストや労力はかなり高いことから、捕獲コストの増大や捕獲実施者である狩猟者の高齢化のことも考えると、今後の捕獲の持続に不安を感じる市町村も少なくないと考える。
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