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花博自然環境助成事業

平成23年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) NPO法人 生態工房〔東京都〕
代表者 理事長 安部 邦昭
事業名 草はらの創出による生物多様性の回復と自然体験の促進
事業の実施場所 東京都立光が丘公園の草地
事業の実施期間 平成23年4月~平成24年3月
事業の概要 都市公園の芝地の強度刈り取りを停止して、草はらへ遷移させることにより、生物多様性の回復と、来園者の自然体験活動を促進することができる。この構想を実現するために、草はらで生物及び来園者に関する調査を行い、草はらづくりを進めるためのデータを取得する。
成果の要約
  1. 踏圧調査
    初夏の調査(実験区に踏圧防止柵を設置してから1か月後)では、実験区・対照区では、植生の違いは見られなかった。秋の調査では、両区ともチカラシバが優占していたが、実験区の半分ほどは調査区外から伸長したツルマメに覆われてしまった。ツルマメに被覆されなかった箇所では、実験区・対照区の植生に違いは見られなかった。今回の短期間の調査では、踏圧による植生の違いが表れない可能性がある。次年度も継続調査を行う。
  2. 採集圧調査
    バッタ類の発生数が多い8月上旬から10月中旬の期間に、9回の調査を行った。草はらに白布を敷きバッタを追い上げ、1m2の区画に分布していたバッタの種・成幼・個体数を記録した。来園者による採集圧が無かった実験区では、日によっては対照区よりも個体密度が高かったが、明確な傾向を見い出すことはできなかった。
    バッタ類は発生数の年変動が大きいため、次年度も再度調査を行い、採集圧による個体密度の違いを明らかにする。
  3. 採集量調査
    9月に2回、市民参加による調査イベントとして行った。参加者にはできるだけ多くの個体のバッタを捕るように教示し、「真剣に」虫取りしてもらった。採取はまず素手で15分、次に捕虫網で15分行い、参加者ごとに採取成果を記録した。採取数が最多だった人は、素手で20匹、捕虫網で18匹捕らえた。一人当たりの採集量を明らかにした貴重なデータであったが、サンプル数が十分ではない。次年度も再度調査を行いデータを充実させる。
  4. 入り込み者数調査
    9月と10月の2回、調査地の草はらと、隣接地の芝地を利生している来園者の人数、滞在時間、利用内訳を調査した。強度に刈り取られた従来型の芝地では、歩行者の通過利用が45%を占めていた。一方、草高60cm程度の草はらでは虫取りや撮影といった、従来型の芝地では実施が難しい利用形態が多数を占めており、新しい利用のしかたが生まれていることがわかった。今後は生物多様性保全と来園者満足を両立させる、芝地と草はらの望ましい面積比について検討していきたい。

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