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花博自然環境助成事業

平成23年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 慶應義塾大学・ランドスケープ研究会〔神奈川県〕
代表者 佐々木 恵子
事業名 種子供給により放棄林が自然植生へと遷移する可能性
事業の実施場所 神奈川県中郡大磯町 高麗山県民の森
事業の実施期間 平成23年4月~平成24年3月
事業の概要 多様な照葉樹林構成種が生育する自然林から管理放棄された二次林へ種が分散することができれば、照葉樹林構成種による種多様性の高い森林に遷移する可能性が高いという仮説の下、植生調査を実施した。隣接する自然林から二次林への林縁効果を定量的に検証することは学術的な意義、局所的に残された照葉樹自然林の保全・拡大を図ることは生態学的な意義を持つ。
成果の要約

管理放棄された二次林(78調査区)と照葉樹自然林(18調査区)合わせて2,400m2を対象に、植生調査および毎木調査を実施した。二次林では合計84種2,290個体、自然林では57種567個体、両林分合わせて95種2,857個体確認した。明るい林内環境を選好する種は自然林にはほとんど出現せず、自然林に出現した多くのシダ植物は二次林では確認されなかった。
服部ら(2001)が作成した全国の照葉樹林フロラリストを基に、本調査で確認した39種を照葉樹林構成種、56種をそれ以外の種に分類した。植生境界に近い調査区では実生も含めスタジイやウラジロカシといった極相林の林冠構成種となる照葉樹林構成種(遷移後期種)が多く分布していたのに対し、離れた調査区ではアラカシ・シロダモといった遷移がやや進んだ森林で見られる種(遷移途中種)が見られた。植生境界から順に遷移後期種が林冠を構成するようになれば、遷移後期種の分布はさらに拡大するだろう。
本調査に出現した全ての種を対象に常在度表を作成した結果、ほぼ全ての木本種は二次林での生育が確認された。しかし、マメヅタ、アリドオシ、イタビカズラやモチノキといった人為的影響の小さい照葉樹林に生育する種や20種以上のシダ植物は、二次林内ではほとんど分布していなかった。従って、植生境界から順に照葉樹林構成種による極相林への遷移の流れはできているが、草本種およびシダ植物がその流れに伴っていない。今後はこの流れを尊重した上で、上述した4種およびシダ植物の定着状況や遷移後期種の動態を継続的にモニタリングすることが求められる。

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