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花博自然環境助成事業

平成22年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) タンポポ調査・西日本2010〔大阪府〕
代表者 代表 布谷 知夫
事業名 タンポポ調査・西日本2010 実行委員会
事業の実施場所 19 府県* で実行委員会を組織して調査を実施 * 近畿2府4県・四国4県・中国5県・福井・三重・福岡・佐賀
事業の実施期間 平成22年4月~平成23年3月
事業の概要 西日本19府県(近畿・中国・四国+福井、三重、福岡、佐賀)において、各府県実行委員会により、市民参加型の調査を行い、在来種(カンサイタンポポ、ヤマザトタンポポなど)および外来タンポポ(雑種タンポポを含む)の分布を明らかにする。
成果の要約
  1. 市民参加型の調査において、これだけ広い地域で学術的にも評価される生物分布データが得られたのは、日本で初めてのことであり、世界的にも非常に貴重な取り組みである。これは、対象が、誰でも知っていて親しみのあるタンポポであった点、タンポポを調べることで環境の変化や生物多様性の現状を知ることができる点、集まった標本について多数の研究者が確認・同定を行った点が要因としてあげられる。
  2. 在来種タンポポの分布について、従来の知見を修正する新しいデータが多数得られた。西日本にはかなり広域に分布するとされていたカンサイタンポポが、近畿と岡山・香川・徳島を中心とする地域に限られており、それ以外の地域では散発的にしか見られないことが初めて明らかになった他、愛媛県を中心に、新種の可能性のあるオオズタンポポ(仮称)が発見されたり、倍数体の在来種の詳細な分布が初めて確認された。
  3. 外来種の分布について、以前から、里山的な自然環境が失われていくと、在来種が減少して外来種の割合が増加することが知られていたが、今回の調査でも、西日本の広い範囲で同様の現象が確認された。また、大阪などでは、自然環境の改善により在来種が復活していることも報告された。しかし、一部の地域、例えば山陰地方や四国西部・九州北部などでは、あまりはっきりした傾向が見られなかった。これらの地域では、外来種が侵入する以前から、在来種のタンポポの分布地点がきわめて限られていたため、環境の改変で外来種が侵入した結果、外来種が非常に高い比率で発見されるようになったと考えられる。したがって、これらの地域では、外来種の比率を環境指標として用いることが難しいことがわかった。
  4. 成果をまとめた報告書を作成した。