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花博自然環境助成事業

平成22年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 近江ウェットランド研究会〔滋賀県〕
代表者 代表 野間 直彦
事業名 琵琶湖水系の特定外来植物防除効率の向上に関する研究
事業の実施場所 滋賀県:琵琶湖および周辺水域
事業の実施期間 平成22年4月~平成23年3月
事業の概要 琵琶湖水系における特定外来植物2種の侵入・拡散状況を把握するとともに、草津市矢橋で2007年度から継続中のボランティアによるミズヒマワリ駆除活動と防除効果の検証を通じて、防除効率向上への提言を行った。
成果の要約

①草津市矢橋におけるミズヒマワリ分布
調査と駆除作業の実施
「ミズヒマワリ生育個体の早期発見と速やかな駆除」を目標に掲げて実施した合計9回の分布調査(兼:応急駆除作業)、および作業船をチャーターして合計4回主催した市民ボランティアによる駆除作業により、今年度内に矢橋地区(狼川河口~十二川樋門の湖岸一帯および新草津川・十禅寺川)で生育が認められたミズヒマワリ個体群(生育確認面積合計:約132m2)の全量を駆除することができた。
こうした発見個体群の全駆除面積(全生育確認面積)を、昨年度(約365m2)と比較すると、約36%に減少させることに成功したが、こうした駆除面積(生育確認面積)の大幅な減少には、「発見後できるだけ速やかに、11月中旬までに駆除を完了する」ことを原則として実施した効率の良い昨年度の駆除作業の成果のみならず、今年度、分布調査と並行して実施した「応急駆除作業(個体が幼少の段階で速やかに駆除)」の成果も大きく寄与しているものと考えられる。
なお、昨年度までに比べて、水深の深い場所やヨシ原の奥部などにおける分布調査の精度が向上したため、これまで十分な調査や徹底した駆除作業が及んでいなかった一部区域(狼川河口~十禅寺川河口の一部)については、駆除面積が昨年度よりも増加したケースもみられたが、これについては今年度の徹底した駆除の成果と評価して良いと考えられる。

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②特定外来植物(特にナガエツルノゲイトウ)侵入・拡散状況調査(広域的分布調査)
計15回(船上4回・陸上11回)実施した広域的分布調査により、多くの地点で新たなナガエツルノゲイトウの生育地が確認されたが、こうして得られた新たな分布情報については、その都度、速やかに滋賀県自然環境保全課をはじめとする多くの関係者に配信するように努めた。
幸い今年度については、これまで我々が訴え続けてきた「琵琶湖水系からの特定外来種(水生植物)駆除事業の実施」の要望に呼応するかたちで補正予算が組まれ、滋賀県自然環境保全課による緊急駆除事業が実施されることになったため、我々が発信したナガエツルノゲイトウの分布情報が直ちに滋賀県当局による駆除事業計画に反映され、その大部分がほぼ完全に駆除される結果となった。
以上のように、今年度、琵琶湖水系においては、我々民間団体の分布調査によって把握された精度の高い最新のナガエツルノゲイトウ分布情報に基づいて、行政当局が速やかに駆除事業を実施するという、官民一体となった見事な連携プレーが実現したが、この実績は、特定外来植物駆除に向けての「官民協働」の具体的な成功事例(先進事例)として、全国に誇り得るものと考えられる。

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