PROJECTS 助成・協働事業

調査研究・行催事等助成事業

平成17年度助成事業 成果概要の報告

事業名
在来種ニホンミツバチの分布全国調査
助成対象者
関西ミツバチ研究会
事業の実施場所
京都大学生態学センター313号室
事業の実施期間
平成17年4月~平成18年3月
事業の概要
「全国調査」の初年度として、今年度は九州地域のニホンの調査を行なった。ミツバチの観察・採集を通し、市街地でのニホンの分布拡大が九州では一部に限られていること、アンケート、現地調査によりニホンの飼育が九州全域で見られ、これまでの報告よりも格段に多いことを明らかにできた。
成果の要約
市街地にニホンミツバチが分布を拡大していると言われる(松浦 2003)。しかし、その実態は明らかでない。私たちは、セイタカアワダチソウに訪花するハチを採集すれば、その地域のミツバチの種類と群れの数が明らかに出来ることを、大阪府での調査で明らかにした(菅原 2005、菅原他 2006)。その調査では、大阪府の市街地には、ニホンミツバチだけが民家の屋根裏や床下に自然状態で生息していることが明らかになった。大阪では、市街地でのニホンミツバチの分布拡大が証明できた。ところが、今回行なった九州の調査では、市街地でのニホンミツバチの分布拡大は、北九州と福岡の一部に見られるだけであった。 これは、九州では市街地でも多くの場所で競合種であるセイヨウミツバチが飼育されていることが原因と考えられる。これまで言われているように、ニホンミツバチとセイヨウミツバチの競合があり、ニホンミツバチが分布を拡大することが出来ないと思われる。この九州で見られる状況が明治時代セイヨウミツバチを導入して以来、日本の各地で見られニホンミツバチが絶滅の危機にあると言われて来たと思われる。  ニホンミツバチの飼育者に自分が飼育するハチの群れ数と、知人・友人が飼育する群れ数をアンケートすることで調査した。さらに、多くの群れを飼育する飼育者を訪問することにより、ニホンミツバチの飼育法、地域の群れ数、最近の飼育の変化を聞き取った。それらの調査から、特に九州の中央の山間では近年、ニホンミツバチの飼育が大変盛になり多くの群れを保有する人がみられるようになった。これは、山間地の過疎化でハチの飼育が人に妨害されないこと、巣箱を壊すクマが九州では絶滅して見られないこと、採集した貯蜜巣板が高価で販売できること、さらに、ミツバチの天敵であるオオスズメバチを捕獲し食べる習慣があるため、オオスズメバチの数が少ない事等が原因であると考えられる。
関連成果物
菅原道夫・近藤勝彦(2006)セイタカアワダチソウ群落にミツバチと共に訪花するハナアブ類とツマグロキンバエ はなあぶ No.21:81-82
菅原道夫・近藤勝彦(2006)九州のニホンミツバチ 「財団法人国際花と緑の博覧会協会」助成研究報告:1-8
菅原道夫(2006) 市街地のニホンミツバチの分布を拡大は、温暖化が原因か?-九州の調査からの考察― 奈良女子大学共生研究所 シンポジュウム報告(印刷中)