PROJECTS 助成・協働事業

調査研究・行催事等助成事業

平成16年度助成事業 成果概要の報告

事業名
園芸療法と動物介在療法
助成対象者名
麻布大学人間学研究室・ドルフィンプロジェクト
事業の実施場所
高知県 室戸市
事業の実施期間
平成16年4月~平成17年3月
(全体計画:平成15年4月~平成18年3月)
事業の概要
心身に何らかの障害を抱える人たち、また特に高齢者を対象に、園芸療法ならびにイルカを用いた動物介在療法(イルカセラピー)を実施した。このなかで人の健康へのプラス効果を検証し、人間性豊かな社会を築く一助になることを目標としてセラピー事業の推進活動を行った。
成果の要約

10名のダウン症および3名の自閉症児が参加したイルカセラピープログラムでは、前年度から継続的に参加した子どもにおいては、昨年度の良好な結果が維持されていることがわかり、また今年度初参加の子どもにおいては、本人からの積極的なコミュニケーションや発語や、周囲との協調、そして動物に対する接し方など行動面に大きな改善が観察された。このように効果の即時性とその持続性の高さがイルカという動物におけるセラピープログラムの大きな利点であると考えられた。

また、高齢者を対象としたイルカアタッチメントプログラムにおいては、高齢者男女5名ずつ計10名を対象にし、給餌体験および接触を行い、血圧および心拍数測定、さらに心的状態を評価する「多面的感情状態尺度」を実施した。その結果、初めてイルカとの接触を体験する高齢者であったのにも関わらず、イルカに親しみを持ち、リラックスした様子が観察された。これにはイルカの持つ外見、ある種の“かわいらしさ”が安心感を与え、撫でる、見るといった体験の内容が初めての人にとって関わりやすかったものであると考えられた。また、普段関わることのない動物を間近に体験し、実際に触れることによって皮膚の感触や大きさなど今までのイメージと違ったことから、驚きの感情「驚愕」が増加したことが、血圧および心理尺度の結果から推察された。このようにイルカは生理的・精神的に良好な変動を与えることができ、心身障害児のみならず、高齢者に対しても心身の健康向上をはかるものとして高い効果があることが示唆された。

自然は人の心を豊かにし、また動物介在療法は健康回復をはかる事ができる。本事業では動物・自然環境とふれあう社会教育の場を提供し、自然環境、野生動物であるイルカを通じた環境社会教育、啓発を行うことができた。これらのことから、セラピー事業の普及を促進し、わが国において新しい自然と人間との共生をもたらすものになった。

関連成果物(公表した論文、活動の写真等)
湯前 麻由、岩橋 和彦、太田 光明, イルカ介在療法プログラムと評価法の検討―自閉症男児の行動分析から, ヒトと動物の関係学会学会誌掲載予定