地球環境の変化と21世紀の持続的発展への挑戦





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フーリャ・カラビアス・リジョ
コスモス国際賞受賞記念講演  


 世界第4位の生物多様性に富んだ国―メキシコ
 メキシコは、北にアメリカ、又南に南米と接していますが、ラテンアメリカの一部であると考えられています。メキシコには二つの海、コルテス海(カリフォルニア湾)と太平洋があります。そして、長い歴史、地質学的な歴史があります。

二つの大きな大陸の間にあるということ、そして、この海岸沿いに大きな山脈があるということで非常にユニークな地形を持っていますし、世界のエコシステムがここに集約していると考えることができます。

 山脈がちょうどこの国を縦断していると申し上げましたが、この山岳地帯が総じて温帯地域で、一部には乾燥した地域もあります。メキシコの西側は太平洋に面しており、さらに南の方に下がりますと熱帯地域から乾燥地域という新しい種類のエコシステムをも持っています。また、冷たい海水が南の方、サンゴ礁がたくさんあるような場所に向かって動いています。

 チアパスというのは、私が仕事をしている所の近くでもあるのですが、最も大きな熱帯雨林です。しかし残念ながら、森林破壊が進んでいます。とは言うものの、動植物相は非常に豊かな種類があります。そして、多くの水がある、大きな川が流れているというのがこの地域の特徴です。

 生物の多様性と言った観点から見ると、直径が12メートルもあるような大きなカポックの木があります。ジャガーがいますし、ホエザル等もいますし、それから赤や緑色したコンゴウインコもいます。これらはそれぞれ絶滅の危機に瀕しています。海岸沿いに行きますと湿地帯があって、フラミンゴがいたり、あるいはワニがいたりします。そして、豊かなサンゴ礁などもあります。こうした水辺という環境の中に、多くの種が生存しているわけです。

 一方、コルテス海(カリフォルニア湾)では、これは世界でも非常にまれなのですが、コククジラというクジラが繁殖をすることが分かっています。また、内陸部に入っていきますと砂漠があり、いろいろな種のサボテンが生えています。こちらのほうに不思議な形をした木が見えます。こ の地域は絶滅の危機に瀕しているアンテロープの生息地でもあります。

 山岳地帯に上がっていきますと、標高5500メートルというポポカテペトル山には雪があります。メキシコオオカミ、そしてクマが生息しています。またミチョアカンという場所では、オオカバマダラが飛んでいます。オオカバマダラは冬を通して飛んでいますが、春になると北のアメリカやカナダのほうに飛んでいきます。5世代を過ごした後、またメキシコに戻ってくるということで、これも自然のミステリーということが言えるでしょう。

 このように、メキシコは非常に生物多様性に富んでおります。こういった生物多様性を持っている国々は地球上に均一に分布しているわけではありません。地球上の60%から70%の生物多様性を持っている国は17カ国ありますが、メキシコは第4番目に多様性に富んだ国です。

 もう一つ申し上げておきたいことは、生物多様性の重要性です。人間が生き延びていくためには生物多様性そのものが重要であるとも言えます。これは生命が誕生してからずっと進化してできたものです。たくさんの種が生まれ、そして、これが継続されていかなければなりません。

 特に一つの種が生物多様性の恩恵を受けています。それは人間です。人間がこの生物多様性を淡水、燃料、バイオケミカル、ファイバーなどに使っているわけです。同時に、環境の力によって規制を受けているわけです。つまり、いろいろな疾病とか、洪水とか、気候です。また、文化的あるいは精神的なものも生物多様性によって我々人間は多くの恩恵を受けているということです。

 人類の歴史を、そして、自然、社会の歴史を振り返って見ますと、我々は、過去においては全てこのように調和が取れた社会に住んでいたようです。これはマヤ文化です。マヤ文化がどのように展開していったかはよく分かっていませんし、自然を思ったほど上手に使うことができなかったのかもしれません。しかしながら、自然とともに、調和が取れた形で生きるという意味においては、現在よりも優れていたのではないかと思います。かつては人は環境と調和をしていたわけですが、今日においてはその状況が大きく変わってきました。我々はいろいろな汚染、公害の中で住んでいます。そして、自然からたくさんのものを取り去り、自然が吸収できる以上のたくさんのごみ、廃棄物を出しているわけです。

 今世紀半ば、地球の人口は90億人に
 現在世界の人口は63億人です。出生率はどんどんと下がってきています。これから50年、下がり続けるでしょう。 それにもかかわらず、今世紀の半ばには人口は90億人になります。これは非常に楽観的なシナリオです。120億人と予測する人もいます。あるいは、人口増加をもう少し抑えることができると考える人もいます。いずれにしましても、90億人ぐらいで安定するのではないかと言われています。つまり、今日の人口の1.5倍になる。これから50年の間に30億人が加わるということです。これは多くの課題を我々に提示しているという意味でもあるわけです。

 人口が多すぎることは問題ですが、それと同時に人口分布も非常に大きな問題になっています。メキシコではメキシコシティを中心とした500の都市に人口が集中しています。都市化人口はこれからもどんどん増えていくでしょう。2025年には、地球上の60%の人口が都市に住むようになると言われています。これが何を意味しているかというと、都市ではより多くの需要が高まり、食料品や、エネルギー源、水がどんどん消費されます。これが土地や自然に大きな影響を与えるということです。

 さらに、人口分布だけではなく、どういった種類の人口かということも問題です。たくさんの人口があるというだけではなくて、貧困にあえいでいる人口が集中しており、十分な水や栄養を得ることができないことが問題です。また、健康や教育へのアクセスを十分得ることができないということが問題です。こういった人たちに対してよい生活水準を与えることが我々の課題です。経済的な努力をするだけではなくて、その天然資源をどのように使ったらいいかをプランニングし、我々の土地の利用のしかたを考えていかなければなりません

 もう一つの問題は、栄養失調です。アフリカ以外の地域においては、栄養失調の人たちの割合は下がっています。特にアジアではその割合が減ってきていますが、これはいいことです。しかし、地球全体で見れば、8億の人たちがまだ栄養失調になっています。つまり、これから30年間の間に食料品を2倍にしなければ、この追加的な30億人の人たちを養っていくことはできないということです。したがって、今、生産しているものよりも非常に多くの量の食料品を生産していかなければいけません。そして、世界の人口の3分の1の人たちが水不足に喘いでいることも事実です。こういった人たち、人口の3分の1の人たちに水を提供し、そして、さらなる30億人の人たちに水を提供しなければいけないということが、もう一つの大きなチャレンジ、課題です。

 地球を支える3本柱―環境の柱が最も弱い
 第1の結論として、現在世界は非常に高いリスクを負っています。社会、経済、そして環境が同じ方向に向かっていないということです。十分に調和されていないのです。特に環境の柱が非常に弱いことが問題です。三つの柱の中で環境の柱がいちばん弱いということをこの漫画では示しています。

 これが具体的に何を示しているかということですが、人間活動は生物多様性の損失を生み出しています。生物多様性は美しいものです。そして、また、必須なものです。人間の発展のために必要不可欠なものです。特にこの数十年間における損失は、過去よりも何千倍も速いペースで失われているということです。

 この地球上で恐竜が絶滅したのは6500万年前のことですが、恐竜が絶滅するために2万年以上もかかりました。しかし、それと同等の自然の絶滅が、この20年の間に起こっています。絶滅のペースがどんどんと速くなってきています。これは2003年のコスモス国際賞の受賞者ピーター・レーブン 博士が受賞時におっしゃったことですが『このペースで進んでいくと、今世紀末には、今日に比べて生物多様性は半分になってしまうだろう』ということです。これは人間の発展にとって受け入れることができないものです。

 一つの種として、我々は他の生命の種の発展を止めてはいけません。そして、今の生物多様性が今世紀末に半減することを許してはならないわけです。

 生物多様性を阻害している原因の一つが森林破壊です。毎年1%以上の森林破壊を行っているのがメキシコです。そして、アフリカ、また、アジアでそれが起こっています。この森林破壊は熱帯林が主です。ラテンアメリカでは熱帯林の破壊が740万ヘクタールにも上っており、森林破壊の大きな部分を占めております。

 森林破壊の主な原因ですが、農業や牧畜によるものです。森林破壊の75%がこの二つによって行われています。それに加えて山火事が大きな問題になっています。

 では、メキシコの熱帯林を見てみたいと思います。最初に写真でお見せしたところですが、1972年の熱帯雨林のラカンドン地域です。水がどんどんと生成されており、ジャガーが生息している地域です。70年代は、熱帯雨林で覆われていたのですが、30年後には、ほとんどの森林が破壊されてしまっています。わずかに細分化され、孤立している所は国立公園として保存の対象となっているため熱帯雨林が残っています。そして、このままではこれからも森林破壊が進んでしまいます。

 森林破壊が進み、ある種が絶滅の危機にあるということは、生態系も危機に見舞われているということです。地球上で、ほ乳類の24%、鳥類の12%、植物の25%、は虫類の25%、両生類の20%、淡水魚の30%が絶滅の危機に瀕しています。サンゴ礁、マングローブの林、生態系が非常に危険に晒されているのです。

 生物多様性の損失には、森林破壊、侵食、公害、気候変動、それから、生息地そのものの破壊などいろいろな理由があります。砂漠化もそうです。地球上の15%がもう侵食されているということです。また、乾燥地域の70%ですでに侵食が起こっているということです。

 2025年、世界の人口の半数以上が水不足に
 地球はブループラネットと呼ばれているとおり、水が沢山あります。地球上の表面の70%は水であり、そして、残りの30%が土地です。地球上の水の総量を100%とすると、そのうち97.5%が塩分を含んだ水で、私たちは使えません。もしかしたら将来使う水なのかもしれませんが、今のところこの海水は使えません。残りが、いわゆる淡水と言われるもので、それは2.5%しかありません。今度はこの2.5%の淡水を100%として見ますと、実は、その内の70%は凍結していて使えないのです。私たちが現在利用している水は、0.5%以下ということになります。将来90億人がこの地球上にある0.5%以下の水を利用していかなければならないということです。

 それはどのようにして可能なのでしょうか。需要は非常に急速に伸びています。前世紀に比べて6倍、水の需要が増えました。そして、水質による健康上の問題が明るみになっています。そしてまた、ユーザー、すなわちいろいろな地域で水を獲得しようということでの競争があります。家庭用、工業用、農業的な水利用ということで、その内訳を見ると、水は農業において最も多く使われています。しかし、水を農業に使う場合、本当に効率よく使っていないということが分かっています。例えば灌漑などで水を使ったとき、技術がない、あるいは蒸発をする等の理由で、灌漑で使われている水の量の70%を失っています。

 これは1995年の状況ですが、この部分の土地は水不足に悩んでいる所です。そして、将来、2025年、アメリカでさえこの問題に直面します。メキシコもそうです。アフリカの北部、中国、アジア等、こういった国が大きな水不足に喘ぐと言われています。

 水の量だけではありません。どのようにこの水を使うのか、一体誰が使うのかという問題があります。上水道を利用する人口は確かに増えてきています。しかしながら、13億人の人達はいまだにきれいな水を手にすることができません。 発展途上国の人の病気の80%が、いわゆるクリーンではない水を飲料としているためと考えられています。そして、年間1000万人もの人たちがそれによって死んでいるのです。

 例えばこちらに出ているような湿地、これはボリビア、ブラジルにまたがるパンタナル湿地帯の写真です。この湿地帯は沿岸地域にあり、塩分と淡水が交じり合い、絶えず変化しています。そのため、このような湿地帯の保全にかかわる条約、ラムサール条約は重要です。現在、1387の湿地帯があると考えられており、1億2270万ヘクタールもの面積が保全されています。

 気候変動は今後も続く
 それから、気候変動です。気候変動によって水不足が起こります。また、気候変動は洪水を起こします。降水量が上がり、海面上昇が起こるわけです。 先週もそうでしたが、台風が何度も来ました。こういったことは過去ありませんでした。一体何が起こっているのかということを見ていかなければなりません。熱帯地域で何が起こっているのか、台風あるいはハリケーンが非常に多くなってきたことと気候変動には相関関係があります。まだ科学的に証明はされていませんが、相関関係は明快にあると言えます。温度が上がること、そして、気候変動が起こっていることの間の相関があるということです。これは稀なことではなくて、これは毎日私たちの国で起こりうる変化だと言えるでしょう。

 この気候変動ですが、太陽から熱の放射が起こります。もちろんこれは反射をするものもあります。そして、大気圏があります。もしこの大気圏の構造を変えるということがありますと、この放射が起こらない、あるいは起こっても非常に少ないということになります。そして、紫外線が地球上に跳ね返る、あるいは残るということで、大きな気候変動が起こるということです。

 過去1000年間の人間の活動と、いろいろな測定値を見ていきますと、例えば、西暦2000年、CO2の排出量が大幅に増えています。次にメタン、そして一酸化窒素です。これらはすべて公害のもととなるものであり、また、人間の活動から発生したものです。 この図は過去50年の間にCO2がこれだけ伸びてきたということを示しています。大気中におけるCO2が30年間で12%伸びたということが分かります。大気中のCO2の濃度の変動は、氷河期などもありましたので減っていることもあるわけです。

 CO2の濃度の変動は、地球温暖化、温度の変動にも連動しています。予測では、もし今何かをすればCO2の濃度はこの辺り、何もしなければここまで伸びてしまう、温度にしますと、1度以下か、あるいは5度以上に上がってしまうのかということで、この違いは壊滅的なものです。温暖化による海面上昇が20センチだけで済むのか、それとも1メートル弱まで海面上昇が起こるのか。もし、このレベルで海面上昇が起これば、多くの国がなくなります。

 これは実際の測定値です。この数年間の温度変化が示されています。もうすでに非常に高い温度が記録されている所があります。1度以上の温度上昇が見られているのがこの大きさの丸です。これは30年間における、北極の氷がいかに溶けているかということを示しています。

 気候変動の原因は、エネルギー消費の増大です。世界の一人当たりのエネルギー消費の最も高い国はアメリカ、次いでカナダ、ロシア、イギリス、そして、日本となっています。そして、実際の総量では、アメリカ、中国、ロシア等がエネルギー消費量が最も多い国々です。

 その一つの原因が自動車です。これは気候変動に対する問題だけではなく、我々の都市における公害の原因にもなっているわけです。 

 20世紀の気候変動はもうすでに経験されたものですが、恐らく0.6度プラスマイナス0.2度の温度の増加があったわけです。2100年においては、1.4度から5.8度の温度上昇が見られるということです。これは非常に破滅的なものです。また、海抜は0.09から0.88メートル上がるだろうと言われています。

 このように気候変動は、空気の質、砂漠化、水、森林、生物多様性に大きな影響を持っています。我々の経済、我々の生活、我々の生活の質に大きな影響を持つものです。

 京都議定書への期待
 しかしながら、希望もあります。京都議定書が批准されています。ロシアも批准し、施行される日を待っているわけですが、これは日本にとっては誇り高いことだったと思います。

 京都議定書をすべての国が批准すればどうなるかということですが、もし議定書がなければ、このように上昇を続けることになります。しかし、間もなく議定書が施行されますと7.6のような線になるということで、改善が見られるということです。そして、すべての人たちが排出を抑えることをすれば、過去の状況に戻すことができるということも示されています。そうすれば多くの問題を解決することができます。

 2250年よりも早くこれを達成することはできないと思います。というのは、我々が今排出しているガスは50年以上も停滞してしまうからです。特にアルゴンです。したがって、すべての排出をここで今すぐ止めてしまったとしても、やはり気候変動は続くと言われています。しかし、早く排出を止めることができれば、このいい傾向を早く達成することができるわけです。そして、人間は、京都議定書のおかげで、このように問題を解決することができるのだということを自らに示すことができたと思います。

 この議定書を批准し、コミットし、これを実際に実行するということをしなければいけないわけですが、これが今の時点です。先進国がほとんどのエネルギーを消費し、ガスを排出しているわけですが、そこで発展途上国はどうするかということです。今日の傾向が続けば、こういった状況になります。そうしますと、先進国の努力によって先進国の排出量を安定させることができたとしても、発展途上国がその消費を増やすことを続けるならば、これは破滅的な結果を生み出すわけです。したがって、京都議定書が施行されることを待つのではなくて、もう批准されているのだから、発展途上国も早速我々のコミットメントについて議論し始めなければいけないと考えております。COP7においては、この方向に向かって新しい議論を始めることになろうかと思います。

 これはオゾン層の話です。オゾン層に穴ができますと、いろいろな人間にとって、そして、動植物にとって有害な照射が行われるということです。 しかしながら、オゾン層は現在のところ安定化しています。オゾン層はどんどんと破壊されていたのですが、私たちのアクションが始まってから、このようにオゾン層の破壊を抑えることができるのです。 フロンの発生を抑えることによってオゾン層の損失破壊を抑えることができるわけです。このところに我々はどんどん目標値に近づいているわけです。それを続ければ、このように下がっていきます。そして、フロンの消費をゼロにすることができるならば、このグラフをさらに低い所にまで持っていくことができるわけです。これは多国間における協定、そして京都議定書などのおかげです。ほかのいろいろな環境問題に関しても、このような議定書が必要でありましょう。

 地球人の21世紀の挑戦課題
 地球規模で今、何をすることができるかということですが、まずは地球の人口を安定させなければなりません。そして、エネルギーや資源の一人当たりの需要を抑えなければなりません。あるいは合理化させなければなりません。新しい環境に優しい技術を開発しなければなりません。また、開発のための環境的なコストというものを考えていかなければなりません。グローバルな財政的な基準を設けて、経済的な効率だけではなくて、生態系の効率を考えなければいけません。そして、自然を破壊することなく、我々の人類の発展を考えなければならないと思います。90年の花博においては「自然と人間との共生」ということをうたわれたわけですが、それが正にここで言っているところだと思います。

 持続可能な発展・開発は、これは政府とか、国とか、そういったレベルだけの話ではありません。
 我々地球人、各個人の生活の活動にもつながるものです。自宅で電気、ガス、あるいは交通手段をどういうふうに使うかということが大きな要因になっています。また、再生可能なエネルギーをどのように開発し、使うかということです。熱効率のいい、エネルギー効率のいい車をいかに開発し、使うかということです。環境に対して負荷の少ない、再生可能なものを生産し、使うかということです。そして、環境的な課題に政府、政治的な指針の中で高い優先順位を持たせるということです。

 環境的なベネフィットと社会的・経済的なベネフィットのバランスが必要です。こちらを下げて、こちらを上げる、社会・経済のベネフィットを上げるために環境的なベネフィットを下げるということをしてはなりません。そうすることができれば、持続可能な世界を構築することができるでしょう。経済、環境、社会という三つの力、三つの柱をバランスの取れた形で構築していくことが必要だと考えます。

 これは新しい努力、新しい考え方、新しい倫理だと思います。新しい生活のしかたでもあると考えます。持続可能な開発にはモデルやレシピはありません。各国がそれぞれ独自の方法で考えることです。どのように実行するかを考えるということです。しかし、この原理原則はすべての国に当てはまります。

 全般を通して、非常に簡素化された形で言いますが、発展途上国は大きな課題を持っています。貧困をなくすという課題です。我々が、今まで先進国が使ってきた同じ量のエネルギー、同じ量の水、同じ量の天然資源を使って発展していくことはできないわけです。したがって、先進国も大きな挑戦課題を持っております。生産と消費のパターンを変えることです。この高い生活水準を90億人の人たちに維持させることはできません。エネルギー、水、動物、植物が不十分なわけです。したがって、その消費、生産のパターンを変えていかなければいけないというのが先進国の課題です。

 日本は、この問題に関してリーダーとなる可能性が大いにあると思います。日本は非常に長い歴史を持った文化、伝統、そして、非常に高いレベルの教育を持っています。したがって、そういった規律の下で、生活、消費のパターンを変えるリーダーになることができると思います。

 もう一つは技術開発です。どこにいてもニコンを使っています。ソニーを使っています。三菱を使っています。東芝のものも使っています。私たちは日本の技術を世界各地で使っているわけです。日本はこういった技術の開発、そして、その流通に非常にたけているわけです。自然に優しい、環境に優しい技術を開発していただいて、それをすべての国々に普及していただきたいと思います。環境を破壊する技術ではなく、環境に優しい技術をぜひとも作っていただいて、日本からそれを発信していただきたいと思います。日本は経済力があります。だから、それは可能なことだと思います。したがって、日本こそが先進国の中で持続可能な開発を行っていくリーダーとなることができる国だと思います。ぜひリーダーになって、この地球を助けていただきたいと思います。
 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    講演会テキスト(104KB)
    プレゼンテーション資料 [英語のみ] (1.42MB)
         (英文テキストは英語サイトにあります)



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