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アッテンボロー氏の代表作として、"Zoo Quest"(動物をもとめて)がある。これは、アフリカ、東南アジア、南米、オーストラリアなど世界各地で、野生動物の生の姿を収録したもので、1984年から10年間にわたって、BBCから全ヨーロッパに放映された。
1979年には、地球上の生命の進化をテーマにしたシリーズ"Life on Earth"(地球の生きものたち)を発表したのをはじめ、生態学の視点から自然界を見た1984年の"The
Living Planet"(生きものたちの地球)、野生動物の生存競争を描いた1990年の"The Trials of
Life"(生きものの挑戦)、さまざまな環境のなかで植物が懸命に生きている姿を捉えた1995年の"The Private
Life of Plants"(植物の私生活)などを次々に制作、これらの作品は全世界で放映され、高い評価を受けた。
20世紀の科学は、分析的、要素還元的な研究手法を通じて飛躍的な展開を遂げ、生命科学の分野でも、分子レベルの研究で未曾有の進展を見せてきた。しかし、その反面、解析の対象とする生物の生きているありのままの姿を見失う側面があるのも否定できない。アッテンボロー氏は、映像を通し、生物の懸命に生きる姿を克明に描き、生きものが演ずる現象を統合的に把握するという視点を強力にアピールした。生きる姿の総体を見ることを通じて、生物学の原点を示したこの成果は、今日の科学のあり方に鋭い提言を行うものであった。
アッテンボロー氏の作品は、単に、珍しい生きものや変わった生態を美しい映像でとらえているに止まらず、生物の進化と多様な生態、生存競争と生物間の相互依存など、真正面から地球生命の本質に迫る明確な視点をもつことに特長がある。
氏の全作品を通して、生命に対する深い畏敬と、生命とは何か?という強い探求心で貫かれていることが映像を見る者に強く訴えかける。このことが、同氏の作品が世界中の人たちに強い感動を与え、自然のなかで人はどのように生きるべきかを考えるヒントをもたらしていると考える。このことから、アッテンボロー氏は、研究者としても英国で高い評価を受けており、1983年に英国王立協会会員に選ばれ、1985年にはサーの称号を受けている。
アッテンボロー氏の業績は、地球的な視野に立って「自然と人間との共生」の理念に寄与する業績を顕彰せんとするコスモス国際賞の受賞者として極めてふさわしいと評価した。
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